経口補水療法について
胃腸炎の時は、少量の水分を頻回に取る方法(経口補水療法)が勧められます。
以下にその方法を紹介します。
経口補水療法の基本:経口補水液(ORS)を使う理由
通常、嘔吐や下痢が続く小児の脱水予防・補正には、ナトリウムとブドウ糖が適切に配合された経口補水液(ORS)が推奨されます。これは世界保健機関(WHO)も推奨する方法であり、腸管での水分吸収を効率的に高める効果が証明されています。
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基本の与え方
- 少量ずつ、こまめに飲ませる(5~10mLを数分おき)
- 嘔吐した場合は5~10分休んでから再開
- 症状が軽快すれば、早めに普段の食事やミルクを再開
ただし体調が悪いときに飲み慣れないものを飲む(飲ませる)のはなかなか大変です。
1つ興味深い報告があります。
りんごジュースを用いた経口補水療法:JAMA 2016の研究
研究概要
- 出典
Freedman SB, Willan AR, Boutis K, Schuh S. “Effect of Dilute Apple Juice and Preferred Fluids vs Electrolyte Maintenance Solution on Treatment Failure Among Children With Mild Gastroenteritis: A Randomized Clinical Trial.” JAMA. 2016;315(18):1966-74.
- 対象と目的
軽度の脱水症状しか認めない小児(主に1歳以上)を対象に、従来の電解質補給液(いわゆるORS)と薄めのりんごジュースを使った補水法とを比較し、治療失敗率(入院、点滴が必要になるなど)の差を調べた試験です。
- 結果
薄めのりんごジュース群のほうが子どもの受け入れが良く、脱水が悪化したり再受診が必要になる割合も低かったことが報告されています。つまり、軽症の胃腸炎であれば、必ずしも専用のORSにこだわらず、子どもが飲みやすいりんごジュース(2倍程度に薄める)などでも十分に補水効果が得られるとの結論です。
注意点とまとめ
- 中等度以上の脱水や嘔吐が激しい場合は、専用のORSまたは点滴治療が必要になることがあります。飲物を少しも受け付けない、あるいは元気がなくぐったりしているときは、速やかに医療機関を受診してください。
- 軽症の胃腸炎であれば、子どもが飲みやすいりんごジュースを薄めてこまめに与える方法が有効とされる研究報告があります。加えて、嘔吐が落ち着けば離乳食や普段の食事を早めに再開し、回復を促してあげることが重要です。
- 補液の目安は4時間くらいです。体重10キロの子で1L くらい飲むことになりますが、これはけっこう厳しい気がしていて、徐々にでも飲めていればいいかと思います。
- 逆に飲めない場合は点滴なども考慮するので、再診の目安にしてください。
このように、「絶対にORSでなくてはならない」というわけではなく、子どもが飲みやすい形の水分補給も十分効果的であると示されています。ただし、ジュースを薄める手間や甘味の好みによっては、専用の経口補水液のほうが確実に電解質を補給しやすい場面もあります。お子さまの状態や好みに合わせ、無理なく続けられる方法を選ぶのが大切です。もし状態が悪化したり不安な症状があれば、当院へご相談ください。