コラムcolumn
病気の話

マイコプラズマ肺炎について

マイコプラズマ肺炎は、咳やくしゃみで人から人へうつる呼吸器の感染症です。5〜15歳の学童期のお子さんに多く、学校や家庭で流行しやすい特徴があります。

症状の特徴
しつこい乾いた咳が長く続く(数週間続くことも)
熱が出る
のどの痛み
だるさ
時に、発疹や関節痛など肺以外の症状が出ることもあります[1]。

なぜ学童期に多いの?
学校という閉鎖空間で長時間過ごすため、飛沫感染しやすい
潜伏期間が2〜3週間と長く、知らないうちに広がる
乳幼児期には母体からの移行抗体により一定の防御がありますが、学童期になると集団生活が本格化し、マイコプラズマに初めて曝露される機会が増えます。また、この年齢層では免疫応答が過剰になりやすく、症状が出やすいと考えられています

検査について
迅速抗原検査
簡単ですが、見逃しが多い検査です。
PCR検査
一番正確な検査です[2][3][4]。
当院ではPCR検査を採用しています。この方法ですと、マイコプラズマ感染症かどうかだけではなく、遺伝子の変異も診ることで適切な抗生剤選択もできます。

治療について
普通の風邪に使うペニシリン系・セフェム系の抗生剤は効きません。マクロライド系の抗生剤(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)を使います[2][5]。

クラリスロマイシンが効かないことも
最近、クラリスロマイシンが効きにくい耐性菌が増えています。耐性菌だと熱が長引いたり、薬を飲む期間が長くなったりします[3]。
PCR検査では、耐性があるかどうかも分かるので、最初から効く薬を選ぶことができます。

長引く咳や熱がある時は、早めに受診してください。早く正しい診断をして、適切な治療を始めることで、早く良くなります。

参考文献
[1] Feng S, et al. Chinese Medical Journal. 2019.
[2] Gao L, Sun YH. Annals of Medicine. 2024.
[3] Wang Y, et al. World Journal of Pediatrics. 2024.
[4] Han H, et al. Journal of Medical Microbiology. 2012.
[5] Xiao Y, Li X. ICLSMH. 2019.