ステロイド外用薬の塗り方と減らし方
湿疹の治療でステロイドを処方されたとき、「いつ・どのくらい・どうやって減らすか」で迷われる方が多いので、当院の考え方をまとめます。
湿疹は「皮膚の奥に火種が残っている状態」です。表面のかさかさや赤みが消えても、皮膚の中ではまだ炎症がくすぶっていることが多く、ここで塗るのをやめると、数日〜数週間で同じ場所がぶり返します。ステロイドは、この火種までしっかり消すための薬で、正しく使えば十分に安全です。怖いのは「強すぎる薬」ではなく「弱すぎる量・短すぎる期間」で中途半端に終わってしまうことだと、私たちは考えています。
塗る量の目安は「1FTU」
大人の人差し指の先から第一関節までチューブから出した量(約0.5g)を「1FTU」と呼び、これで大人の手のひら2枚分の面積に塗れます。ローションなら1円玉くらいの大きさが1FTUです。「ティッシュペーパーが軽く貼りつくくらい」「皮膚がてかってベタつくくらい」が、ちょうどよい量です。すり込むのではなく、ちょんちょんと数か所に置いてから、なでるように広げてください。すり込むと摩擦で皮膚を傷め、かえってかゆみが増します。
塗る順番について
保湿剤とステロイドのどちらを先に塗るべきかについては、実は明確な決まりはありません。ただ当院では、保湿剤を先に塗っていただくようお伝えしています。理由は二つあります。一つは、保湿剤の後にステロイドを塗る方が、ステロイドの成分が湿疹のある部分以外に広がりにくいこと。もう一つは、入浴後は早めの保湿が大切で、まず全身に保湿剤を行き渡らせたほうが家庭でのスキンケアが回りやすいことです。お風呂上がり15分以内を目安に、まず保湿剤を全身に塗り、そのあと湿疹のある部分にだけステロイドを重ねてください。
「塗り終わるタイミング」の目安
ステロイドをやめてよいのは、見た目の赤みやブツブツが消えただけでなく、触ったときにツルツルしている状態になってからです。ザラザラ・ゴワゴワが残っているうちは、まだ炎症が残っています。ここを見極めずにやめてしまうのが、再燃のいちばん多い原因です。
減量を急がない――「良くなったと思ってから、さらに1週間」
診療をしていて一番もったいないと感じるのが、「だいぶ良くなったから」と早めに塗るのをやめてしまい、数日〜2週間で同じ場所がぶり返してしまうケースです。これは保護者の方が悪いのではなく、見た目で「治った」と判断するのと、皮膚の中の炎症が落ち着くタイミングにずれがあるためです。
そこで当院では、「お母さんが『良くなった』と思ってから、さらに1週間は1日2回のステロイドを続けてください」とお伝えしています。この1週間で、表面ではなく皮膚の奥の炎症まで落とし切るイメージです。
その先の減らし方は、急にやめるのではなく、塗る回数を段階的に減らしていきます。たとえば「毎日2回」→「毎日1回」→「2日に1回」→「週2回」のように間隔を広げていくやり方です。週に2回くらいの外用を続けながらきれいな状態を保つ方法は「プロアクティブ療法」と呼ばれ、再燃を防ぐ方法として推奨されています。再燃を繰り返すお子さんでは、すぐにゼロにせず、しばらくこの維持期を置くことが大切です。もう一つの減らし方として、ステロイドのランク(強さ)を一段下げて続ける方法もあります。どちらが合うかは皮疹の経過によって変わるので、再診のときにご相談ください。
こういうときはご連絡ください
塗っても1週間ほど改善が見られない、薬が足りなくなりそう、塗ってよい部位や量に迷ったとき、皮膚がジュクジュクしてきた・黄色い汁が出てきた(細菌感染の可能性)――こうしたときは、自己判断で塗るのをやめずに、LINEまたは外来でご相談ください。
「塗りすぎるより、足りない量でだらだら使う方が、結果的に薬を長く使うことになる」のが、外用治療のいちばんの落とし穴です。最初にしっかり、見た目が治ってもさらに1週間、そこから段階的に――このリズムを一緒に作っていきましょう。

