コラムcolumn
薬・おうちケア, 院長より

LINEでお薬の受け取りがもっと便利に  当院の「薬局」についての考え方

お子さんの診察が終わってホッとしたのも束の間、今度は「お薬をどこで、どうやって受け取るか」という小さな手間が待っています。熱を出した子を抱えて、慣れない薬局で長く待つのは、保護者の方にとって決して軽い負担ではありません。最近は、スマホから処方箋を事前に送って、好きな時間にお薬を受け取れるサービスが広がってきました。今回はまず、そうした便利なサービスをご紹介し、そのうえで当院が薬局選びについてどう考えているかをお伝えします。

LINEで処方箋を送れる受け取りサービスが始まっています

「くすりの窓口」をはじめ、処方箋の画像をLINEなどで事前に送り、希望の時間にお薬を受け取れるサービスが登場しています。あらかじめ送っておけば、薬局側で準備が進み、待ち時間を短くできるのが利点です。当院の門前にあるいちご薬局さんも、こうした受け取りサービスに登録されていますので、よろしければご利用ください。
https://www.kusurinomadoguchi.com/lp/line

利用の大まかな流れは、トーク画面のメニューから受付を選び、薬局を選んで処方箋の画像を送信、準備ができたら通知が届く、というものです。ただし一点ご注意いただきたいのは、実際にお薬を受け取る際には処方箋の原本を薬局に持参する必要があることです(※1)。画像の送信はあくまで事前準備であって、原本の提出が不要になるわけではありません。また、ご兄弟姉などご家族分の処方箋をまとめて受付できる仕組みもあり、お子さんが複数いらっしゃるご家庭には便利な場面もありそうです(※1)。

スーパーでの買い物のついでにお薬を受け取る、そんな時代が来たら良いなと当院も思っています。ただ、正直なところ、現時点ではまだそこまで便利に使いこなせる段階ではないかもしれません。便利さは大切な価値です。そのうえで、特に小児のお薬については「どこで受け取るか」も知っておいていただきたい点があります。

そもそも、なぜ病院と薬局は別なのか

日本では、医師が診察と処方を担い、薬剤師が調剤を担うという役割分担が原則になっています(医薬分業)。医師の処方を薬剤師がもう一度薬学的に点検するダブルチェックが働き、疑問があれば医師に問い合わせる仕組みです(※2)。さらに、かかりつけの薬局を決めておくと、複数の医療機関からの薬や市販薬まで含めて、飲み合わせや重複がないかをチェックしてもらえます(※3)。病院と薬局が分かれているのは、この独立した立場からの確認のためです。

当院が、いちご薬局さんでの調剤をおすすめする理由

はじめにはっきりお伝えしておきます。当院と門前のいちご薬局さんとの間には、資本関係も経営上のつながりも一切ありません。どちらも独立した事業者です。また、いちご薬局さんは小児科専門の薬局というわけではなく、内科などほかの診療科の処方も受けている薬局です。そのうえで、小児科に強い薬局として日頃から頂りにしており、当院が調剤をご案内しているのには、小児科ならではの理由があります。

理由1 小児の薬に強く、対応に慣れている

小児の薬には、大人の薬とは違う難しさがあります。体重や年齢ごとに用量が変わり、粉薬(散剤)やドライシロップを成分量から製剤量へ換算する必要があり、そもそも添付文書に小児の用法・用量が書かれている医薬品は約3割にとどまるとされています(※4)。残りは医師と薬剤師が体重や年齢から慎重に判断することになります。いちご薬局さんは小児の調剤に慣れていらっしゃるため、こうした一つひとつの確認を的確に行っていただけます。

理由2 処方の意義をしっかり説明してもらえる

当院がなぜこの薬をこの量で出したのか、その意図を理解したうえで説明していただけるので、保護者の方にとっても腐に落ちやすく、相談もしやすくなります。薬剤師は処方された薬の名前・用法・用量・効能・副作用などを説明する役割を担っており(※3)、その説明が処方の狙いと噛み合っていると、ご家庭での服薬がぐっと進めやすくなります。加えて、小児では年齢や発達に合わせた剤形の選び方や、うまく飲ませるための工夫が大切で、こうした服薬の工夫も薬剤師に相談できます(※4)。

理由3 疑問があったとき、お互いにすぐ確認できる

処方内容に確認すべき点があれば、薬局から当院へ問い合わせ(疑義照会)が入ります。小児の処方箋は監査が難しく、薬剤師が判断に悩む場面も少なくないと言われています(※5)。日頃から連携できている薬局とは、この確認のやり取りがスムーズで、結果としてお子さんに渡るお薬の安全性が高まります。

さらに当院では、診療が始まる前の段階からいちご薬局さんと連絡を取り合い、その日の在庫状況や処方内容のすり合わせを行っています。診察してから「薬局に在庫がなかった」と後で分かるのではなく、あらかじめ確認しておくことで、お子さんに渡るお薬がよりスムーズに、そして安全に準備できる体制を整えています。

理由4 小児の薬の在庫を、しっかり抱えてくださっている

小児用の薬は種類が多く特殊なものも含まれるため、十分な在庫を持っている薬局は多くありません。せっかく薬局に行ったのに「在庫がなく後日」となれば、具合の悪いお子さんを連れての二度手間になってしまいます。いちご薬局さんは小児のお薬を幅広く備えてくださっており、加えて前述のとおり当院が診療前から在庫状況を確認・共有しているため、「薬がなくて困る」という事態が起きにくくなっています。

まとめ:便利さを活かしつつ、薬局は「中身」で選ぶ

最後に、お伝えしたいことを整理します。

  • LINEで処方箋を事前に送れる受け取りサービスは便利な選択肢です。ただし受け取り時には処方箋の原本の持参が必要な点はご理解ください(※1)。
  • 病院と薬局が分かれているのは、薬剤師による二重チェックと飲み合わせ・重複の確認のためです(※2, ※3)。
  • 小児の薬は用量・剤形・在庫の確認が多く、小児科に強い薬局と連携できるメリットは大きいです(※4, ※5)。

当院は、門前のいちご薬局さんと資本関係を持たない独立した立場のうえで、小児への対応力・処方意図の共有・相互の確認・在庫の充実という点から、いちご薬局さんでの調剤をおすすめしています。もちろん、どの薬局を利用されるかは保護者の方の自由です。迷われたときは、遠慮なく診察の際にご相談ください。お子さんが安全に、そして無理なくお薬を続けられる形を一緒に考えます。

注意!!在庫がなかったときのために:送信は必ず当院の診療時間内に
便利な受け取りサービスですが、一点だけ、運用上どうしてもお願いしたいことがあります。
薬局に処方したお薬の在庫がなかった場合、通常は薬局から当院へ連絡が入り、処方の変更などを相談したうえで対応します。このとき、処方が変われば当院で処方箋を再発行し、薬局へお届けするかファックスで送る必要があります。
ところが、休診日や診療時間外に処方箋の画像を送られても、当院ではこうした対応ができません。在庫切れが分かっても、その場で処方を変更したり、処方箋を出し直したりすることができず、結果としてお薬の受け取りが滞ってしまいます。
当院はLINEでのご相談をお受けしていますが、これは病気やお子さんの体調に関するご相談のための窓口です。処方箋の受付や、在庫切れに伴う処方変更まではLINEでは対応できません。
そのため、処方箋の事前送信は、必ず当院の診療時間内に済ませておいてください。 診療時間内であれば、万一在庫がなかった場合でも、当院と薬局ですぐに連絡を取り合い、スムーズにお薬をお渡しできる体制を整えています。

参考文献

※1 くすりの窓口(EPARK). LINEで処方箋受付(受取り時に処方箋原本の持参が必要). https://www.kusurinomadoguchi.com/lp/line

※2 薬+読(じほう). 病院と薬局はなぜ別々に分かれているの?(処方鑑査・ダブルチェックの解説). 2025年. https://yakuyomi.jp/experience_interview/interview/02_066/

※3 日本薬剤師会. 医薬分業をご理解いただくために〜医薬分業Q&A〜. https://www.nichiyaku.or.jp/yakuzaishi/activities/division/faq

※4 清宮啓介・鈴木小夜(監修:五十嵐隆 国立成育医療研究センター). 小児薬用量の考え方と小児薬物療法における注意点. 今日の臨床サポート. 2021年改訂. https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=1630

※5 日経メディカル. 医師も薬剤師も苦手な「小児薬用量」(小児処方箋の監査の難しさ). https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201803/555078.html