コラムcolumn
院長より

かかりつけ医登録いただいた方が300世帯になりました

なかのこどもクリニック院長の中野優です。
このたび、当院で「かかりつけ医登録」に同意してくださったご家庭が300世帯に達しました。
まずは、心より御礼申し上げます。
300という数字そのものも、私たちにとって大きな節目です。
ただ、それ以上に重く受け止めているのは、「この医院に継続して診てもらおう」と思ってくださったご家庭が、それだけ増えたということです。

急な発熱のとき。
咳が長引くとき。
湿疹がよくならないとき。
予防接種の予定に迷うとき。
発達や育児のことで、少し気になることがあるとき。

そうした日々の不安や判断を、当院に預けてくださっているということだと受け止めています。

「かかりつけ」は、特典ではなく役割だと考えています

小児科には、「小児かかりつけ診療料」という保険診療上の仕組みがあります。

これは、同意をいただいたお子さんについて、急な病気だけでなく、喘息やアトピー性皮膚炎などの慢性的な症状、予防接種の確認、発達や育児不安への相談、必要時の専門医療機関への紹介などを含めて、継続的に診ていくことを評価する制度です。つまり、「登録すると何か特別なサービスが増える」というよりも、医療機関側が「その子を継続して診る責任を持つ」仕組みだと考えています。

一回一回の受診だけでなく、その子のこれまでの経過、体質、家庭で困りやすいこと、以前うまくいった対応、逆にうまくいかなかった対応。
そうした情報をつなげながら診ていくことに、小児科のかかりつけとしての意味があります。

窓口負担は変わりません。でも、医療費は発生しています

かかりつけ登録をすると、医療機関側では診療報酬を少しだけ多く請求することができます。
一方で、安城市では子ども医療費助成により、保険診療分の窓口負担は基本的にありません。そのため、かかりつけに登録してもしなくても、ご家庭が窓口で支払う金額は変わりません。
患者さん側から見ると、「特に何も変わらない」と感じられるかもしれません。
ただ、窓口で支払いがないということは、医療費が存在しないという意味ではありません。
その医療費は、健康保険や安城市の公費、つまり皆さまの保険料や税によって支えられています。
当院は、そのお金を単なる収入としてではなく、地域の小児医療を続けていくためにお預かりしているものだと考えています。
だからこそ、制度を利用する以上、その分の役割をきちんと果たしたいと思っています。

当院では、登録の有無にかかわらず相談の入口を開いています

かかりつけ登録をしていただいた患者さんには、時間外を含めた相談対応の体制が求められます。

多くのクリニックでは、かかりつけ登録をした方専用の電話相談窓口を設け、「登録すると相談しやすくなる」という分かりやすい形をとっています。これは、とても自然で理にかなった運用だと思います。

一方で、当院では少し考え方が違います。
当院では、かかりつけ登録の有無にかかわらず、LINEで相談できる窓口を開いています。
私は鹿児島の僻地で診療をしていた時期がありますが、その地域の患者さんは小児科専門医に一度も会うことなく一生を終える方もたくさんいらっしゃいました。
幸いなことに知識は人に提供しても減ることはありません。
当院のLINE相談は、このように当院にかかったことがない患者さんに対しても門戸を開いております。

そのため、正直に言えば、当院では「かかりつけ登録をした方だけが使える、分かりやすい特典」は多くありません。
このことは、院内の掲示でもそのままお伝えしています。

登録によって窓口負担は変わらないこと。
LINE相談は登録の有無にかかわらず利用できること。
そのため、患者さんにとって直接分かりやすいメリットは大きくないこと。

都合のよい部分だけを説明して登録していただくのではなく、判断材料をきちんと並べたうえで同意していただきたいと考えているからです。

それでも選んでくださったことを、重く受け止めています

そうした事情もあって、当院のかかりつけ登録は、正直に言うと苦戦していたように思います。
体調の悪いお子さんを抱っこしたまま、こちらの事情で書類にサインをしてくださいとは言えません。
しかしそのことを説明をしたうえで、それでも300世帯のご家庭が当院をかかりつけとして選んでくださいました。

これは、私たちにとって大きな励みです。
分かりやすい見返りがあるからではなく、継続して診ていく姿勢そのものを信頼してくださったのだと受け止めています。

もちろん、まだ十分にできていないこともあります。
それでも、地域の中で「困ったときにまず相談できる場所」であり続けたいと思っています。

これからも、一つひとつ丁寧に積み重ねます

小児科のかかりつけとして大切なのは、特別なことを一度だけすることではなく、日々の診療を一つひとつ丁寧に積み重ねていくことだと思っています。

急な発熱や咳の判断。
喘息、アトピー性皮膚炎、便秘、夜尿などの長い経過をみること。
予防接種の抜けを確認すること。
発達や育児の不安を、必要な支援につなげること。
必要なときには、専門医療機関へ紹介すること。

その一つひとつを、これからも大切に続けていきます。
300世帯という節目は、当院にとってゴールではありません。
お預かりしている信頼の現在地です。

これからも、安心して頼っていただける小児科であれるよう、当院の役割を誠実に果たしてまいります。
あらためて、かかりつけ登録に同意してくださった皆さまに心より御礼申し上げます。

今後とも、なかのこどもクリニックをよろしくお願いいたします。

参考資料

・厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要」
・安城市「子ども医療」